FXのススメ

一般の相対取引を、くりっく365に切り替えるメリットについて

12月も半ばで、そろそろ1年が終わります。
1年が終わると、1年の収入が確定し、それに伴い、納税額も確定します。


FXで得られる利益は、詳細な説明はカットしますが、通常「雑所得」に該当し、
一般ピープル(年収2,000万円以下の給与所得者)は、20万円を超えた利益とならない限り、改めて確定申告をしなくて良いようです。


が。


筆者は、現在、利益が20万円以上になっており、このままでは、確定申告の恐れが。


という訳で、
急きょ、勉強を始めた訳ですが、
それによると、FXには、通常業者での相対取引(以下、一般取引)以外にも、東京金融取引所を介する「くりっく365」という、税制上の優遇処置がある取引制度もあるそうです。


前置きがだいぶ長くなりましたが、
という訳で、最終的にはケースバイケースだと理解していつつも、
本日は、一般取引をくりっく365に切り替える意義に関して、個人的見解から考察してみます。

予備知識:税制の違い

まず、何がどう違うか?という話です。

■損失の扱い

一般取引
各年ごとの決算で、繰越控除無し。他の雑所得と合算考慮。
くりっく365
繰越控除あり。他の先物取引と合算考慮。

如実に差が表れるのは、赤字の年と黒字の年をふらふらする場合。
くりっく365では、過去の赤字を考慮する事で、最終的な課税対象利益が低く見積もられますが、一般取引では、それがなく、黒字が出れば、そのままに課税されてしまうそうです。


筆者の場合、このペースなら、毎年黒字のはずなので、これは関係無しですか(ぇ

■税率

一般取引
総合課税で、ざっくり言うと、総所得によって変動。
因みに課税所得195万円以下では15%ながら、1800万円以上になると50%になるらしい。
くりっく365
申告分離課税で、ざっくり言うと、利益に対して一律20%。

もう一つの大きな違いが、税率。
一般取引では、収入によって、段階的に税率アップ。
一方、くりっく365では、儲けによらず税率が一定なので、結果的に、儲けが大きい場合は、くりっく365の方が節税されることになります。



以上を踏まえて、以下ケースごとに考察。

ケース1:年収2,000万円以下の給与所得者で、利益も20万円以下

基本的には、利益に対する税金が発生しないので、どちらでもw


ただ、特に、比較的年度ごとの浮き沈みが激しく、
赤字になる年と20万円以上の利益になる年を往来する事を考えると、
損失を繰越考慮されるくりっく365の方が有利。


また、特殊なケースとして、この利益のせいで課税所得が増えて、総合課税の税率も変わってしまうようなケースでも、
分離課税扱いとなる、くりっく365の方が有利と考えられます。


もっとも、個人的には、
このレベルの期待利益、すなわち、赤字と黒字を行ったり来たりする程度なら、
そもそもFX投資はしない方がいいのではないかとw

ケース2:利益が20万円超で年間課税所得が330万円以下

課税所得が330万円以下でも、更に195万円以下の場合は、一般取引の方が利益に対する税率は低く済み、節税ですが、
おそらくその程度しか所得がない場合は、
そもそも元本保証がされないFXなどをしている場合ではないのではないかと(ぉ


という訳で、もう少し所得の多い、195万円超を前提としますが、
この場合は、どちらのスタイルで取引しても、税率が20%で変わらなそうです。


もっとも、
実運用としては、売買手数料が安かったり、通貨ペアが豊富だったりで、一般取引の方が取引しやすく、
節税とは別の観点で、収入に差が出る可能性はある気がします。

ケース3:年間課税所得が330万円超695万円以下

一般取引の場合、課税所得に対する税率が30%なので、利益に対して最大約209万円(=695万円×30%)を納税する羽目。
一方、くりっく365の場合は、一律20%なので、最大139万円の納税。
その差は、最大約70万円。


節税という観点に限れば、くりっく365です。


ただし、695万円の利益を得るイメージにまで話を広げると、
「全てのケースで、くりっく365が有利」とも限らない気がします。


というか、税制上優遇措置を受ける、くりっく365ですが、
全てにおいて一般取引より秀でているかといえば、そうではなく、


一般取引に比べて、売買手数料が高い


事が多い気がします。


例えば、一般取引では手数料無料で売買できるケースでも、
くりっく365では、取引1枚(1万通貨)当たり200円近く取られ、新規買付・決済で、計400円近く手数料が発生するのが相場。


695万円を全てFXで稼ぐケースを想定しますが、
年間取引回数が1750枚(=70万円÷400円)を超える場合は、節税効果と手数料が、ほぼ相殺です。
20日で考えると、日に平均7枚、という話であり、相当のデイトレードでなければ、そういう事はない気がしますが、
695万円ではなく、FXの利益が69.5万円だったりすれば年間175枚が閾値という話でもあり、
それなら日に1回程度に相当しており、あながち馬鹿に出来ない気がします。


また、売値と買値の差(スプレッド)も、一般取引よりも、くりっく365の方が大きく設定されている気がします。
もし、仮に、その差が1pointあるとすれば、これは1万通貨あたり100円の差を意味しますので、
7000万通貨以上の売買で、これまた節税効果と利益が相殺されている可能性あり。


7000万通貨の売買は、一般ピープル的には、イメージ自体が難しいように思いますが、
同じく月20日で考えると、1日当たりは、約30万通貨。
10万通貨のデイトレなら3回、5万通貨のデイトレでも6回です。


更に上述の、手数料自体の効果と絡めると、これまた、馬鹿に出来ない話です。


この辺は、取引スタイルに依存する部分が大きく、
例えば、スワップと呼ばれる金利差で主に利益を得る場合は、
売買自身がほとんどせずに利益を膨らませる事になるので、くりっく365の節税効果の方が高いと考えられますが、
スキャルピングと呼ばれる、薄利多売ながら売買回数を重ねる事で利益を得ている場合は、
節税面では不利ながら、むしろ売買手数料が安くて、スプレッドが小さい、一般取引で利益を逃さない方が手堅い、という事になります。

ケース4:年間課税所得が695万円超900万円以下

一般取引の場合、課税所得に対する税率が33%、というルールに照らして納税額が確定。
一方、くりっく365の場合は、利益の20%が納税額。
開きが大きくなるだけで、話自体は、概してケース3と同様。


という訳で、以下、ばっさり省略(ぇ

まとめ
  • 課税所得が330万円超となるケースでは、くりっく365を検討する方が節税しやすい。
  • ただし、デイトレーダーに関しては、手数料・スプレッドに有利な一般取引で、そもそもの利益を極力減らさない方が、トータルとしては手元にお金が残るはず。
  • これらをまとめると、くりっく365により、スワップで利益を得る(売買回数を最低限に抑える)作戦が、一番節税しやすいのかも。